明治27年
06月23日

朝鮮最近報
              (本月九日仁川発)

朝鮮の風雲は益々急なり 左の一報は 本月九日仁川発のものなれば 往々是迄報道せし記事と重複する所なきにあらず 然ども之れを除かば事情を明らかにすること能はざるを憾(うら)む 故に重複をも顧みず掲載する事となしぬ 読者幸に之れを諒せよ

▲仏国公使も亦出兵を申し込む

(本文省略)

▲右に関する政府の意向

(本文省略)

▲袁(世凱)公使

(本文省略)

▲政府大に喜色あり

別項に記したる全州の小戦には 官軍少しく勝利を得 東徒の巨魁一二人を斬り 賊勢稍や衰へたるの兆ある旨急報に接し 政府は大戦大勝已に平定に近しと言ひ合へる由 果して真に斯くの如く喜べるや否

▲帝国艦隊来る

帝国艦隊松島、千代田の二艦は釜山に入港せり

▲支那軍艦来る

支那軍艦操江号は今朝(九日)入港せりと聞く 同号は特に 一銃一千挺、弾丸十万粒を載来し明朝京城に運搬する筈なりと

▲ウエバー氏出発す

(露国公使の動向 本文省略)

▲法聖の最近報
(※法聖は全羅南道 霊光郡 法聖面であろう)

当地方は賊勢又々猛烈を加へ繋泊船舶の如き往々危険の患あり

▲牙山地方と騒乱

東徒騒乱に就いては当地方に格別の影響なきこと丶て 唯丶噂のみにて存外静穏なりしに拘はらず 四五日前より俄然騒がしくなれり そは全州陥落の報に引続き 支兵(※支那兵)三千援助の為め入韓 牙山県下白石浦(屯那浦の西三里)より上陸すること知れ渡り 県監よりは援軍上陸に対する諸般の準備に関し当地方民に布令を発したる為めなり
▲支那軍艦の碇泊地

(牙山近海に碇泊 艀船(はしけぶね)で上陸予定 本文省略)

▲韓船を徴発す

(支那兵上陸用の艀船二十隻を徴発 本文省略)

▲人夫を徴募す

(昨日来毎戸一名計八十名の人夫を徴募 本文省略)

▲人夫の要途

(徴募した八十名のうち四十名は白石浦へ、他の四十名は次項の電線柱用材伐採のため出発 本文省略)

▲臨時電線を架設せん

支那兵来援に就いては通信を迅速ならしむる為め 牙山と天安県まで凡そ六里の間に電線を架設する事に決し 已に牙山領内塩作と称する処の李水使所有に係る山林より松材四百本を伐採する筈にて 前項の如く人夫を出発せしめたり

▲電線架設は中止となる

前項の如く臨時電線を通ずれば素より便利多けれど 其費用の莫大なるを以て一時見合すべき旨 只今京城より伝令ありし由にて随て用材伐採の事も中止せり

▲電信の代りには

兎に角此際通信の便なかるべからざるを以て 電線架設は見合せたるも 其代りに各邑毎に人夫を佇ませ 遁次急報せしむるか 若しくは要所々々の山上に信号を設くるならんと云ふ

▲御用金を徴発す

地方官は当地人民に向つて各御用金を上納すべきことと命達せり(中略)然ども人民は言を構へて容易に出銭せず

▲糧食用に活牛を納めしむ

支那兵の差当りの糧食に充つる為めに(後略)

▲運搬用の駄馬を出さしむ

兵器等運搬の為御用馬八十頭を命じたれども 元来揃ふべき見込なき土地柄故 牛を合せ漸く五十頭を得たる由

▲温陽県監来らん

(御用金、御用人夫、御用牛馬不足解決の為め 本文省略)

▲駄馬飼料の大豆を徴発す

(本文省略)

▲村民の不平

以上諸般の準備は朝鮮に取りては余程の難事なれば (中略) 人民に於ても亦相互いに大不平を唱へ 罪なき我々に向つて出銭など命ずる如き虐政なる故東学党も起れるなりなど 随分不穏の言を吐く者少なからず (後略)

▲強奪同様

(前略 地方官の牛馬徴発のやりかたは強奪同様であり)持主は大に憤怒し地方官を評して 不良党(即ち強盗の事)なり 鉄砲を所持するならば砲殺するも飽き足らずなど言ひ合へる由

▲支那軍艦果してくる

(六日正午支那軍艦は内島近傍に來泊 七日総長より陸揚げ・上陸予定 本文省略)

▲又一報

支那商船一隻 兵卒千名を搭載して只今(八日午後六時)到着 直ちに上陸を始めたり

▲海竜号と顕益号

海竜号は御用船として法聖 鮮山の間を往復せるが 法聖の賊勢猛烈なるのみならず 群山地方も亦騒擾し来り危険の患へあるを以て陸地遠くて繋泊せざるべからざる由(後略)

▲仏国軍艦の来往 など六項目省略

▲東徒の流言=南朝鮮

東学党を以て神変不思議の術を行ふものなりと信じ 一種階級の異なりたる人間の如く想ひ居るは啻(ただ)に愚夫愚婦のみに限らず 頗る事理に通じたる人々も亦彷彿たる感情を懐き居るは 殆ど我輩の思想の外なりと云ふべし 是れ彼等が巧みに流言を放つて人心を狂惑し 以て己れが威信を収めんとする所の手段たるに過ぎずと雖も 朝鮮に在りては此種の術策こそ却て其効用の顕著なるが如し (後略)



08年08月18日 月曜日
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