旧四月
十四日辰刻
全州監司発 |
只今 霊光府伯の報ずる所によれば一昨日十二日 彼徒(かのと)万余名城内に闖入し居民を劫散す 鎮定の策なし 恐怖に堪へず
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仝(=同)
十五日
招討使初 |
軍糧軍搬の方法 予め講ぜずんばあるべからず 依て益山府伯鄭元成をして此任に当たらしめんことを請ふ 又曰く 彼徒霊光に闖入せしと云ふ |
仝日
錦山県監発 |
賊情を探偵するに殆んど三千の多きに至る 又懐徳県に於て銃一、槍十六、弾丸七十三、弓一張を掠奪せられしに付 属吏に明治取返しの法を謀る |
仝
十六日
運糧官鄭元成発 |
至急軍糧米輸送せずんばあるべからず 漢陽、慶済の内いづれか一隻 今日群山に向つて回漕せよ 返電を俟つ |
仝日
招討使発 |
江華の海軍何日到着するや 軍刀拾柄と上等の雷鑵送付せよ 斥候元世禄行衛(ゆくえ)判明し召還せり 李斗黄、李学承をして二隊の兵を率ゐ 金溝、泰仁、井邑、高敞、興徳の地方に向はしむ |
仝
十七日
全州監司発 |
彼徒の動静を探偵するに 一は霊光に留在し 一は咸平に赴かしめ将に開戦せしめんとす 今暁取敢へず二隊の兵を送る 又曰く 招討使京軍二隊の兵を率ゐて先刻彼徒の屯所に赴けり |
仝日
招討使発 |
彼徒 半ば霊光に留り 半ば咸平務安地方に向ふ 昨日二隊の兵を送り 今晩再び二隊の兵を送りて後援せしむ |
仝
十七日
全州監司発 |
東徒 入つて霊光を犯し 城中に拠る 則ち招討使は急に兵を率ゐて霊光に向ふ |
仝
十八日
全州監司発 |
転運使 火輪船に乗じ 税穀を載せて下往する処へ東徒来りて捉へ去る 依て之を取り返す為め 早速属吏を急派せり |