海南新聞韓国関係記事
08年12月19日 金曜日
1894(明治27)年08月30日付

●贈与金を再三返却す 
今治室屋町一丁目の人民は 同町内より出征せし赤貧者某の家族へ贈与金をなしたるに 某は深く其厚意を謝したれども其金を受取らうとはせず、御厚意を無にせんは中々恐れ多きことながら 兵は国民の義務とやら申しますれば 今回倅(せがれ)が召されて兵役に服せしは国民の尽くすべき義務を尽くしたるまでのことにして 我が一家如何にも赤貧に迫り糊口に困り居れども 之を受けますは理由(いわれ)なき事と申すべし 農家は昨年に引続き本年の旱魃にて如何ばかりか苦心し居り 殊に小作人の仲間には我々と同じく糊口に困り居るもの多かるべく 又我々と同じく一家の大黒柱となる者が出兵せしものも多かるべし 左れば貧は我が一家にのみ纏い付き居るにはあらずと思へば精神自(おのず)から強うなり 仰々しき申分ながら如何に艱難を嘗むるも是れ国家に尽くすの一にして何程の事かあらん 就ては此金を我が一家に恵まるるよりは他の有益なる事に使用せられたし と固く辞して押し返し容易に受取らざるより 町民大に当惑し人を代え再三再四受け納めよと説き諭したるに依り 左までに仰つて下さるなら是非に及ばず忝くお受け申すべしと漸(やつ)との事に受取りしが 恁(かか)る貧民の尚ほ国家に尽くすべきを知る斯くの如きは稀なりとて 町民一同痛く感じ合へるとなん