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  1999年11月06日(土曜日) Fair
どこかに姥捨て山はないじゃろか…

 政治はこんな残酷なことをしていいのか。忘暮楼は泣きたくなった。

 テレビで、介護保険の適用内容を決めるための訪問調査のようすを流していた。市町村職員や ケアマネジャーが在宅の老人や施設にいる老人を訪問調査するのである。

 調査員の手元には全国共通の調査書があって、老人に、「歩いてみて…」、「左足だけで立てる…?」などと言いながら、老人達の動作能力を測定していく。

 これらの調査結果がコンピューター処理され、判定が出てくる。

 「…さんはねえ、軽いほうから二番目だって。だから家で生活しながら介護を受けることになるんよ」。要支援」という判定を受けた老女性に、施設の係員が説明している。

 老女性にはそうしたくない事情があるのだろう、「どこかに姨捨山はないじゃろか」とつぶやく。

 現在施設にいるものは、五年間はそこにおれるのだそうだ。忘暮楼には、五年のうちに死になさい、としか聞こえなかった。

 訪問調査のとき、和歌山カレー事件の夫なら「動けん」と言い張るのであろうが、老人達は、調査員の言葉にしたがってベストを尽くして立ったり歩いたりする。そして、ゆらゆらしながらも見事に歩ききると、介護の対象からはずされる。

 人間の誠実、努力、挑戦をあざ笑うがごとき調査である。こんな残酷な扱いがあるだろうか。

 こんな法律を作った政党たちよ、今後、親を敬えとか、先祖を敬えとか、絶対に言ってくれるな。


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