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  1999年7月23日(金曜日) 晴れ
江藤淳氏の遺書

 昨日はニュース・テンコ盛りだったが、書かなかったことがあった。江藤淳氏の自殺だ。遺書は次の通り。

 「心身の不自由は進み、病苦は堪え難し。脳梗塞に遭いし以来の江藤淳は形骸に過ぎず。自ら処決して形骸を断ずる所以なり。乞う、諸君よ、これを諒とせられよ。
平成十一年七月二十一日」

どうもいっていることが分からない。辞書を引いてみる。

  • 【形骸】@精神の働きを除いた身体A形だけで内容を伴わない骨組み。framework
  • 【処決】@処置をつけること settlmentA覚悟を決めること。決心。 decision
  • 【断ずる】@決める。断定する。determine A裁く judge 用例:是非を断ずる
  • 【諒とする】よしとする。もっともだと思う。 understand
※『講談社カラー版日本語大辞典』

 丹念に読めば読むほど分からなくなるが、

「脳梗塞の後遺症が進んで苦しみが耐えがたくなった。今の自分は精神の働きがなくなった。そこで自分で処置をつけて形だけになった身体を裁く(断ち切る、か?)のである。諸君、どうか自分の考えを理解してほしい。」
と理解しよう。

 「諸君」の中に私も入っていると仮定して不謹慎だけど一言。

 冒頭の「心身の不自由は進み、病苦は堪え難し。」だけで十分だったのだ。後は強がりと甘えだけだ。

 脳梗塞後遺症とともに生きる人々に対する侮辱ではないのか。


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