1999年3月19日(金)
名誉毀損とボクシング
若い弁護士さんから名誉毀損のはなしを聞いた。ホームページに地労委の陳述書を載せたいのだが・・・、と尋ねてみたのだ。
説明を聞いて思ったのだが、名誉毀損と言う問題はボクシングとそっくりである。

ボクシングの選手がやっていることは,要するに「外傷、骨折、病気の悪化、めまいや嘔吐(おうと)など生理的機能の侵害」であるから傷害行為である。
他人に対する傷害行為であるのになぜ罰せられないのか。もちろんゲームだからである。同じ行為を街角を歩く他人に対してやったら刑法によって罰せられる。

名誉毀損というのは、他人の「社会的評価を低下させる行為」である。「小学館百科事典」で名和鐵郎さんは、「社会生活を営むうえで社会的な評価が重要な意義をもつところから、刑法は社会的評価としての名誉を個人の人格的法益として保護しているのである。」と説明しておられる。昨日の話ではないが、教員などもこの「社会的評価」のご利益を多々受けているわけである。

ところが、今回の今治精華高校の不当労働行為救済申立てにかかる学園側の陳述書などは名誉毀損のオンパレードである。我々の側の陳述書にも、学園関係者の社会的な評価に影響を与えそうな事実が明らかにされている。なぜこれが刑法に触れないのか。それは、地労委の審問だからである。あるいは裁判だからである場合も多いだろう。
裁判や地労委の審問ではない場面で同じことをやるとこれは名誉毀損になるおそれがある、というわけだ。

結局,弁護士さんは、「うーーん、ギリギリやなあ」との判断だった。

不特定または多数人の認識しうる状態で、結果的に人の社会的評価を低下させることがありうる具体的な事実を告げること---つまりホームページにプライバシーに触れられた陳述書を公開することはどうもきわどいらしい。

忘暮楼のホームページに「更新準備中 愛媛の私立学校」と予告していたのはこの陳述書のことだったのである。以上のような事情ですので、この予告は撤回しておきましょうわい。


忘暮楼日記 <


 

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