琉球方言世代継承の現状

2003年7月18日 金曜日

  今日は「琉球方言学特殊講義」(内間直仁先生・琉大)の最後の講義だった。授業もほとんど終わってあとは来週火曜日の「沖縄の民俗」(波平エリ子先生)だけだ。来週から月末まで期末テストとレポート提出に追われそうだ。 
  さて内間先生の最終講義では方言の世代継承の問題が取り上げられた。
  私が見ても、いま宜野湾市の若い人(若い母親もふくめていいようだ)が日常家庭で使っていることばは、沖縄方言とは思えない。それは、「圧倒的な共通語語彙」と、「ごくわずかの沖縄方言語彙」を、「沖縄方言のアクセント」に乗せてしゃべっているに過ぎない。我々県外のものがそれをきくと、独特のアクセントに乗せられた共通語の響きが方言として感じられているだけのだ。
  内間先生は今日の講義でそんな状況を如実に物語る調査結果を取り上げた。沖縄市古謝のある家庭の祖父・父・子の三世代の2002年の方言状況についての調査結果である。ここではこの調査のごく一部を紹介するにとどめるが、この資料だけでも沖縄の方言実態はある程度想像できると思う。要するに、家庭内で祖父と父が方言でしゃべっていると息子はほとんどそれが理解できない、というのが実態なのである。(同じ沖縄県でも離島における継承状況はこれより数段よいがここでは割愛する。)

「使用」は、日常的に使用している、の意。
「理解・不使用」は、聞いて意味はわかるが自分では使わない,の意。
「消滅」は、使用することが出来ないだけでなく、意味を理解することも出来ない、の意。
  
73歳の男性が
日常的に
使用している語
の例(親族呼称)
の共通語表現
73歳の男性が
日常的に
使用している語
の例(親族呼称)
の方言表現
左の語に対する
49歳の男性の継
承状況
同じ語に対する
23歳の男性の継
承状況
祖父 ウスメー(御主前)) 理解・不使用 消滅
祖母 ハーメー(母前) 理解・不使用 理解・不使用
スー(主) 理解・不使用 消滅
アンマー 理解・不使用 消滅
叔父 ウザサー 理解・不使用 消滅
叔母 ウバマー 理解・不使用 消滅
アヒー 理解・不使用 消滅
アバ 理解・不使用 消滅
ウットー 使用 使用
従兄弟 イチク 使用 使用
兄弟 チョーレー 使用 消滅
ウヤ 使用 消滅
姉妹 イナグチョーレー 使用 消滅
ンマガ 使用 消滅
甥姪 ミックヮー 使用 消滅
トゥジ 使用 使用
ウトゥ 理解・不使用 消滅