2002年12月29日 日曜日
 瀬戸際政策

 

 瀬戸際政策は英語ではbrinkmanshipというそうだが、brinkは、「スカンジナビア語(古ノルド語)」の「brekka」を語源とする言葉で、「丘陵の斜面」「危ういぎりぎりの端」が原義だそうだ(旺文社新英和中辞典・小学館web英和辞典)。それで、brinkは場合によって「崖のへり」「端」「水辺」「頂上」などを指し、「瀬戸際」「土壇場」「危機」を意味することになる。

 最近のマスコミの論調では、朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)の外交政策を瀬戸際政策と呼ぶ場合が多いが、brinkmanship policy は、そもそも、圧倒的な軍事力をもつ国が相手国をねじ伏せるためにとった政策を指す言葉で、次の説明(小学館百科事典)がわかりやすい。

   
 瀬戸際政策 せとぎわせいさく brinkmanship policy

   1956年1月アメリカのダレス国務長官が『ライフ』誌のインタビューで用いた用語で、危険寸前まで力ずくで共産主義勢力の浸透を抑える政策をさす。ダレス長官が在任中、朝鮮半島、台湾、インドシナにおいて核戦争の一歩手前まで最大限の武力を行使して共産主義勢力の浸透から自由主義世界を守ったという発言による。これはトルーマン大統領時代の「封じ込め政策」を批判したダレス長官が、独自の政策として主張した「巻き返し政策」の、より積極的な一面を示したものである。〈藤村瞬一〉

 この意味では、朝鮮の政策を瀬戸際政策と呼ぶのはあまり適当とは思えない。朝鮮は、アメリカにミサイルを打ち込むといっているわけではない。逆に、現在アメリカがイラクに対してとっている政策こそダレス流の瀬戸際政策(brinkmanship)そのものなのである。

 アメリカに追随するマスコミにはこの点が見えなくなっているらしい。