2000年 12月30日 土曜日

 松山・日本コリア協会のありかた


   忘暮楼は松山・日本コリア協会に所属している。来年1月には定期総会がある。忘暮楼はどうやら機関紙発行を担当することになりそうだ。新年を迎えるにあたり松山・日本コリア協会の性格(日朝協会のあるべきすがた、といってもいい)について考えてみたい。とりあえず箇条書で。

 

  1. 戦後、日本政府が中国やベトナムやソ連などの社会主義国を敵視する政策を持ちつづけたため、これらの国々との無国交の時期が長かった。国交が樹立されていなかった期間は、中国が1949年から72年までの23年間、ソ連は1917年から56年までの39年間、ベトナムが1945年から73年までの38年間、朝鮮は1948年の創建から今日まで52年間である。

  2. それらの国交未樹立の期間にあっても、日本の左翼と平和勢力は、それぞれの社会主義国と日本国民との友好関係を醸成するために、日中友好協会、日ソ協会、日本ベトナム友好協会、日朝協会などを組織し、国交回復運動を中心に多彩な交流運動が進められた。

  3. しかし、社会主義国の大半との国交が樹立された今日においては、国際交流は多様化し、従来の友好運動は全般的に停滞している。日ソ協会は肝心のソ連が崩壊してしまったため「日本ユーラシア協会」と改名したし、日中は組織分裂した。国交の樹立していない日朝間の友好運動に取り組んできた日朝協会も数千人程度の弱小勢力となっている。

  4. これらの組織が組織的な困難に遭遇することになった原因はさまざまであろうが、共通して見て取れることは、それらの運動がそれぞれが対象とする社会主義国家政府機関を窓口とする運動であったために、対象国家の政治動向によって大きな影響を受けたことである。それぞれの組織に、対象国家政府の主義主張を至上としてそれを日本国内に伝播することをもって自らの任務と考える政治勢力が生まれ、組織の内外にさまざまな混乱と困難をもたらした。

  5. 日朝協会も例外でなく、故金日成主席の還暦を機に主席に対する個人崇拝運動と金日成が創出したという主体思想を日朝協会にもちこむ勢力が生じ、協会は分裂状態になった。愛媛県には、今日も、松山・日本コリア協会(日朝協会松山支部)のほかに、日朝協会本部と何ら関係のない人物が、有名無実の「日朝協会支部」をいまだに名乗っているという変則的な状況がある。

  6. 松山・日本コリア協会は、再建された日朝協会松山支部を母体としつつも、今日の状況にふさわしい活動のあり方を検討し、その規約でみずからを、「日本と韓国・朝鮮との民衆レベルでの交流とアジアの平和の実現を目指」す民間交流団体であると規定して新しい名称「松山・日本コリア協会」を採用した。

  7. この規定の第一の特徴は、交流運動の対象を朝鮮半島全体の民衆(もちろん日本に住むコリアンを含む)としていることである。社会主義的な国に限った交流運動ではないのである。「日本コリア」という名称でそれをはっきり宣言している。

  8. 第二の特徴は「民衆レベル」の交流という規定である。この規定には一つの自粛自戒の意味あいがある。それは相手国の政府を窓口とした交流運動を目的としないということであり、それらの政府がどのような路線を進めているかにかかわらず民衆同士としての交流を希求するということである。たまさか当該国政府が便宜を図ってくれたとしても、感謝はするがちょうちん持ちはしない、ということである。

  9. 「民衆レベルの」というのは「普通の人々の」の謂いであり、国家や民族を代表する者、あるいはそういう自覚に立った政党人、政治家としての運動ではないと言うことである。

  10. 「民衆運動」にあたる英語は「grassroots movement」(草の根運動)である。「草の根」とは@毎年春になると芝草を生やしてくれる牧場の基盤である土壌、A政治家を支える土壌である選挙民、などの意味を経て、B地方の一般大衆、と転じたものらしい。これをもちいて「民衆レベルの交流運動」とは「草の根交流運動」であるととらえれば分りやすいかもしれない。

     参考までに、ある英和辞典の説明を写しておく。

      • grass roots n. [the 〜, 〈sg./pl.〉]
        • 1 地表に近い土壌.
        • 2
          a 《問題・組織・政治運動などの》 基盤, 基礎, 根本, 根源; 選挙民.
          b  《都会など政治の中心に対して》 農業地帯[地方, 田舎](の一般大衆), 《広く》 一般大衆, 「草の根」.
      • grass-roots
        a. 《指導者層に対して》 一般大衆の.

  11. 交流運動推進の目的は相互理解を深め、独善性から解放されることだ。隣り合う2国の民衆が独善的な思想にとらわれないように自主的に努力しあうことは、その地域での平和関係(平和的手段による問題解決システム)を構築する上でもっとも大切なことであると考える。日本の国民にとっては日本国憲法の平和主義の強化につながる。

  12. このような運動を日本人とコリアンの恒常的な努力によって推進するためには、松山・日本コリア協会が日本人とコリアン(この運動に賛同するその他の外国人も除外する理由はない)によって支えられることが大切だ。つまり会員の国籍は問わないと言うことだ。こうして、活動を企画する段階がすでに国際交流の場になっていることによって、真に実り豊かな運動となるであろう。

  13. この運動に大切なことは「会員の国籍の違いによって対立の起きるような問題は会の運動としてとりくまない」という配慮である。さらに多数決による速戦即決を排することである。つまり、松山・日本コリア協会では扱えない課題があると前もって認識することである。

  14. たとえば「竹島問題」の場合なら、両国がどんな主張をしているかを知るための「研究・学習会」は企画するが、「日本の領土であることを認めさせる運動」には取り組まないということである。それをやりたい会員は、個人的にあるいは他の団体で取り組むのである。

  15. 以上、今考えていることを書きつけてみた。