2000年 11月26日 日曜日

 大臣


   私の最大の関心は依然として、先の大戦での敗北によって崩壊した日本帝国と、私たちが暮らすこの日本国との断絶と連続の問題である。いま読んでいるのは「日本の近代2 明治国家の建設」(坂本多加雄著 中央公論社)。この本で拾った話だが…

 明治初年から内閣制度実施までの政府要職は太政大臣、左大臣、右大臣の3職が大臣で、あとは大納言、参議などと称した。1885(明治18)年の内閣制度実施でそれらの官職は廃止され、各省を選任する大臣の上に1人の総理大臣を置くことになった。

 ときの太政大臣三条実美は「薩長均衡の原則」から、1人総理大臣制に難色を示したそうだが、二転三転の後、結局言い出しっぺの伊藤博文が初代の内閣総理大臣になる。ここに出てくる「大臣」はすべていうまでもなく天皇の上席の臣下をいう。

 国民主権である日本国政府の要職は依然として天皇の臣=大臣のままである。しかして問題になることもなし。大臣という呼称は「神の国」以上に、「国体の連続」の観念を国民に押し付ける道具になっている。天皇は、事あるごとに足下におびえかしこまる大臣たちを見て「国民主権」の実態を笑っているのではないだろうか。