2000年10月 16日 月曜日

 鹿の道


   中川峠から佐々連尾山へ。
 分水嶺の笹原を行く。景色の開けたところだがガスで遠望はかなわない。縦走路は笹原に隠れているのだが、まっすぐに続く笹原のくぼみが道の位置を教える。

 ところで、はるか下方の谷から登ってきたもう一本の細い道がこの縦走路を突ききって伸びている。これが鹿の道なのだそうだ。笹の下を除いてみると人の道と遜色ない道である。交通量はこちらのほうが多いのかもしれない。

 物を運ぶ人の道は経済の道である。餌を求める鹿の道もまた経済の道である。経済の道は人間のそれも鹿のそれも、直として尾根を乗り越えて峠をなす。しかして、人間の精神活動(遊び)が生み出した登山道はひたすら尾根に縁って走る。時折、経済の道と精神の道が交差する。たのしい光景である。