2000年10月11日 水曜日

痛快な本!


  浜野輝さんの『H.G.ウェルズと日本国憲法』を読み終えた。一部流し読みあり。

 痛快な本だった。昨日の日記にも「少子化」にかこつけてその一部を紹介しておいたのだが、忘暮楼が、誰か書いてくれないかなあ、と念じていたアイデアが、あちらこちらですでに痛烈な表現で展開されているのであった。そのひとつが「今日の諸悪の根源は明治維新だ」という論点。浜野さんはこう語る(268ページ:やや長文引用)。

 

 ここで思い出すのは明治維新である。当時、せっかく《文明開化》の路線が打ち出されたのに、一方、それとは全く水と油の《王政復古》が唱えられて、妙な二本立の路線になってしまった。だから、わが国は確かに,技術的・物質的には近代化されたが、社会的・思想的にはむしろ古代化され、ついに分裂症に陥ってしまった。藩閥明治体制のこの矛盾の破綻がまさに四〇年前のあの敗戦だったのである。《尊王開国》により、それまで歴史の片隅に逼塞(ひっそく)していた原始的・古代的存在の天皇をわざわざ引っ張り出してきて果たしてよかったかというと、顧みてはなはだ疑問ということになろう。かりに《佐幕開国》により将軍徳川慶喜を大統領にでもしていたら、もともと彼には神がかったところはないから妙に絶対化されず、当然かなりの波瀾曲折はあったにしても、文明開化はすべての分野に着実に広く深く進行したであろう。

 「明治維新」は往々にして近・現代史の当然の始点のように扱われることが多い。しかし、これは大変なボタンの掛け違いであったと思う。「明治維新」の毒素はあの大事件「8・15」をも乗り越えて、今日においても社会の隅々にまで被害をもたらしつづけているかのようである。

天気曇り 
今日の出来事◆中間私権等案の○付け5クラス分完了。あすは点をつける。◆第3回南北懇話会は10月18日となる。展覧会の名称も議題。

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