2000年8月18日 金曜日

物語と歴史分析


  「拒絶された原爆展」(マーティン・ハーウィット)と読みながら考えさせられたことは「物語」と「歴史分析」の相克と言うことであった。

 「九州上陸作戦は、大量の犠牲者を出した沖縄での作戦を再現する恐れが十分あった。最小限の犠牲で一夜のうちに戦争を終わらせるためには、エノラゲイを出動させ、だれも経験したことのない原子爆弾投下作戦を成功させる外なかった。英雄たちはこの困難きわまる作戦を見事成功させ初期の目的どおり平和を回復し、兵士たちを家庭に帰らせた。--完--」

というのが在郷軍人会や議会やワシント・ポストが好む「物語」であった。クリントン大統領やゴア副大統領もこの見解に与した。

 「天皇陛下と国家と家族のために、東亜の諸民族の独立と共栄のために、何百万人の日本人が皇軍将兵として聖なる戦争を戦った。米国の物量作戦によって日本は二百数十万人の犠牲者をだしついに敗戦の憂き目を見ることになったが、これらの犠牲者はけっして犬死ではない。戦時中と同じく戦後においてもこれらの犠牲者の魂は国家のためにいのちを捨てた英霊、英魂であり、英霊の尊い死が今日の平和の礎であることを語り継がなければならない。--完--」

 これが日本の<在郷軍人会>の物語である。

 「天皇は常に臣民の幸せを願われる人徳者であった。常に平和を希求するやさしいお方であった。1945年8月のご聖断がそれを余すところなく物語っている。戦争によってもたらされた災禍はすべて君側の軍人たちの無思慮な判断、無謀な行動によって引き起こされたものである。--完--」

 これもひとつの物語である。このような物語を好む人々が、えてして君側の奸たる軍人を祭る靖国神社を信奉するのは一種の自己矛盾ではあるが、これが物語というものの特質である。

 物語は完結しているのであるから修正主義者の立ち入りを許さない。

 物語の真実と虚構を明らかにするのが歴史分析であるが、アメリカでは歴史分析を主張するものが修正主義者(revisionist)と呼ばれ、日本では物語を語ろうとするものが修正主義者と理解されるのは興味深いことである。


天気恵みの雨 石手川の流域が特に雨量が多かった。町はそれほどでもなし。うまくできているものだ。 
昨日の出来事◆中国、靖国参拝組森田一運輸大臣の訪中を断る。中国側も運輸省も靖国参拝とは無関係と述べた。◆「高齢者処遇研究会」の昨年の調査によると特養ホーム678施設のうち216施設に「過去一年間に心理的なものを含めて虐待があった」。加害者は46%が他の入所者、42%が職員。◆99年度の自殺者は33048人で一日90人。男のほうが自殺したがる(男71.1%)。19歳以下は674人、一日1.8人。75%が中高年。「自殺する人は『心の病気』を抱え、治療を受けないまま死んでしまう人が多い。」(東京都精神医学総合研究所高橋祥友医師)◆埼玉北本市。三菱マテリアルの地下水から発癌物質トリクロロエチレンが基準の8000倍。金属の脱脂洗浄用。大宮にある同社の施設の地下水からはカドミュームが環境基準の約360倍が検出された。
今日の出来事◆米国、ネバダで教12回目の臨界前核実験。◆既報のアキニレの林が美しい「かすみ公園」は重信工業団地の近くの上林大橋の南詰。◆重信川の河原に多い樹木は、エノキ、アキニレ、アカメガシワ、オニグルミ、センダン、クサキ(あまり多くはない)、ヌルデなど。土手にはコナラ、ウルシ、クスドイゲ(トゲがある 多くはない)なども見られる。

もどる