2007年3月5日
海南新聞
明治41年
3月26日

老馬新聞

1908(明治41)年3月26日 

拓殖法案の要旨

韓国拓殖法案は予期の如く大多数を持って下院を通過せり、上院に於ても亦今一経過に出づ可きは断言を憚らず。該案の成立は。今期議会に於ける最も重要なる成蹟の一なり。政府が斯かる重要な議案を会期将に尽きんとする今日に於て、之を提出したるは、聊か国事に不忠なるやの讒りを免れざるに似たれども、也
(また)政府側より云はしむれば、斯かる重大の案件なればこう、慎重審議、調査に調査を重ねたるの結果、多大の日子を銷し、計らず提出の機を遅延したるものと言ひ得ざるにあらず。議員法公が、宏量大度能くこの間の事情を酌み、一に国家の利害に惟れ顧み、該案を通過せしめたるは、大いに賞賛に値するものあり。

対韓政策の第一要義は人に在ること吾人の既に数次論述せし所なり。然れども、吾人の所謂る人とは単に指導し其人のみを意味するにあらず、韓国の経営は指導し其人を得ずんば、完全なる効果をあげ得ざること固よりなしと雖、厥
(か)の指導の下に、よく指導の方針を諒解し得るの国民なかりせば、拓殖の事到底望むべからず。上に優位の指導者あり下に忠良なる国民あり、国家の発展初めて庶幾るべきなり。
翻て韓国の現状をを顧みるに、国民咸な頑迷無知、熱誠なる我が伊藤統監の指導も、現状の儘にては彼等を済度するに由なきに似たり。
この際、彼れ等に臨むの術、タ丶゛二あるのみ。曰く武力を以て彼等を圧伏する其一なり、曰く盛んに我同胞を移植し彼等を感化する其二なり。

而して、前者は単に一時的成功を博するに止まり永遠の計にあらず、徒に韓国民の反抗心を挑発し、暴徒の頻起を促すに了るのみ、過去の実験明かに之を証明す。

后者の永久的にして且効果の著大なるに如かざるべし。多数の我同胞を移殖し、頑迷なる韓国民を善導感化して忠順至誠の民となさば、韓国統治の実おのづから挙がる 所謂無為を以て治むるもの乎、韓民の暴慢依然として旧の如くんば、如何に憲兵を増派するも、如何に駐屯兵を倍加するも、変乱の勃発竟に制すべからざらん、韓民の化育善導は其根治策なり

拓殖法案の要旨亦た恐らく此辺に在らん。既に多数の同胞を移植し、天下治成らば、諸種の拓殖事業着々其緒に就くや必せり。

今回の拓殖法案を目して、是れ我国が韓国を殖民地となし 行く行く彼れを占領せんとする目的なりと做す如きは妄断も甚だし。韓国を開発して富国強兵の実を挙げんとする我国の誠心誠意は、終始諭ること無し、但し之に処する方策に至ては、時勢を共に素より千変万化を免れず。誤解する勿れ。

拓殖案の成立に連れ吾人が、我国民に向つて希望すべき一事あり。
他なし、我国民は動
(やや)もすれば、愛郷の情緒にほださる丶余り、自己の郷土に恋々たる如き傾向あり、所謂愛郷病之れ也、愛郷病は帝国発展の一大障害なり。愛郷心は愛国心を似而非なるものなり。苟も我国力の大発展を計らんとせば、我国民は須らく世界を以て自己の家となし、世界到る処に活働を試むるの覚悟なからざるべからず。況んや、一葦帯水の韓国、我同胞は此際競ふて彼の地に永住し、対韓政策の遂行に力を致すべき也。合せて之を云ふ。((如風生))

 東洋拓殖株式会社法