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目次に帰る
2006年12月19日

組踊「銘刈子(めかりし)」


「人間国宝四人の会」の最後の出し物は組踊『銘刈子』です。宜野湾市森川には羽衣伝説の伝えられる泉があします。このことについては沖縄在住時代に書いたことがあります。⇒
『銘刈子』のストーリーは結末以外は大体この伝説を下敷きにしています。結末部分はちょっと違っていて王様になるのではなく、王様に召しかかえらることになっています。

 さて、舞台の中央からやや右側にかかえて大きな松の木がしつらえられています。舞台の右側にはよく見えるところに地謡(ジウテー)が8人座っています。歌・三線が4人、筝、笛、胡弓、太鼓が一人ずつ計8人というわけです。組踊ではこの地謡が、独唱に、合奏に活躍します。

最初に登場した天女の美しいこと、色っぽいこと。これが人間国宝の宮城能鳳(67歳)さんでした。

沖縄の宮廷舞踊はもともとすべて士族(男)が演じていました。ちなみに、宮城さんは別のところで女形を勤めるコツのして「肩を落としミゾオチを落とす」と語っておられました。

登場人物はこの天女と、天女の羽衣を隠して妻にしてしまった男・銘刈子と、二人の子供である「おめなり」「おめけり」などです。

私が一番感動したのは、天女が夫と子供を捨てて天へ帰って行くのですが、子供たちはいなくなった母親を探し回ります。そして、松の木の梢あたりを飛ぶ母親を見つけたおめけり(弟のほう)が母親を指差して「あああ」と叫びます。そのときです。「あああ」が終わりきる直前に、最後の「あ」に重なるように歌三線の独唱が始まるのです。それはびっくりするような高い声で歌い始められました。そのときの緊迫感というのはほんとにすばらしいものでした。

そのときなぜ「組踊」というのかぱっと理解でいました。交響曲のsymphonyは「音(phony)をとも(sym)に奏でる」ということでしたが、組踊もこれと同じことだと思いました。役者の演技や台詞と地謡の演奏や歌を組み立てて(組み合わせて)展開されるのが組踊なのだ、と思ったのでした。

初めての組踊の鑑賞は大変印象深いものでした。沖縄の芸能、芸術の奥深さを味わいました。