2001年 10月22日 月曜日

またぞろ社会ダーウィニズムか


 小泉首相は9月の臨時国会の所信表明で「この世に生き残る生き物は、最も力の強いものや頭のいいものではなく、変化に対応できる生き物だ」とダーウィンの進化論の一節を引用して、「国民に対して変化を受け入れ、新たな発展をめざす姿勢をを促し」(産経新聞紙)たが、APEC首脳会議でも同じ文句を引用して「変化に対応する人材養成の必要性を指摘した」(同紙)という。

 ダーウィンの進化論というのは、動物でいうならばこんなことであろう。

  1. 同じ種類の動物と言っても、一匹一匹の個体にはいろいろな変異が生じる。生じた差異は遺伝する。
  2. 一方、ある種類の動物が生存するために役立つエサの量は有限である。
  3. そこで、それぞれの個体は、エサの獲得のために同種の他の個体と闘争することになる。
  4. その闘争における最適者は生き残り、最適の子孫を残すことができるが、最適ではなかったものは死滅して行く。

 進化論が正しい学説なのかどうか私は知らないが、どちらにしても、生物の進化は少なくとも何十万年、何百万年といった時間の流れの中で実現されると考えられているのではないか。そんな進化論の議論を、10年から数十年の変革を論ずる現実政治に適用することができるわけがない。

 適用出来ないのにしようとするのはそこに科学とは無縁の目論みがあるからである。それは畢竟、「力がなく、頭がよくなく、変化をうけいれない国民」の排除ということにつながるものでしかありえないであろう。


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