2001年 9月2日 火曜日

「小泉純一郎」人気の意味


 アン・ホールは『フェミニズム・スポーツ・身体』(世界思想社)のなかで、西洋の哲学的二元論

身体/精神、自然/文化、感情/理性、私的/公的
を取り上げ、
 
 

西洋の文化は女性を身体、自然、感情、私的なものと関連付け、男性をより価値のある精神、文化、理性、公的なものと関連づける傾向にあり、このようにして女性を「自然なもの」としての身体の中へ閉じ込める。 

 

と述べている。ほかのところはよくわからない本だったが、ここは面白いと思った。

 こんな目で小泉純一郎首相をみてみると、「硬派」と見える彼が、案外女性的な存在だということになりそうだ。

なぜなら、第一に、彼は抵抗勢力への憎悪を政治姿勢の軸としている。ということは、理性的というよりは感情的な人間だといえる。

 第二に彼の顔立ちとベートーベンのヘアスタイルは小泉人気の重要な要因である。この点では、精神的というよりは身体的だ。

 第三に彼は脱派閥を唱え、先の参議院選挙でも自民党候補に派閥離脱を呼びかけた。これは自民党の旧来の手法から見れば、公的というよりは私的だ。総裁選挙で田中真紀子が、「政治的同志」ではなく「政治的女房」として彼を応援したが、これも「私的」傾向の証しである。靖国神社参拝での我の張り方も私的と言えよう。

 最後に、小泉首相の政策スローガンは「聖域なき構造改革」である。彼はこのスローガンによって軍事や政党助成金や皇室関係など以外のすべての分野向上を切り捨てようとしている。国民に向上をあきらめさせ、構造に関心を持たせようとするところをみると、彼は文化的というよりは自然的だ。

 というわけで、小泉首相は西洋文化の二分法でいうならば、「身体、自然、感情、私的」、つまり「女性的」の範疇に入る。 

 これまでの自民党を家父長的な政治と見れば、このあたりの一種の異質性が、小泉氏をして瀕死の自民党へのカンフル内閣とならしめたのかもしれない。

 しかし、テレビ・コマーシャルに言うように「美人は飽きられやすい」ものだ。小泉氏の身体性は早晩見捨てられるに違いない。
 また構造改革がともなうはずの痛みはいわば「虫歯の痛み」だ。民衆がこの痛みを許容するのは虫歯になっていないときだけである。しかして、この虫歯も早晩うずき始めるだろう。


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