2001年 7月3日 火曜日

 朝日新聞は驚いていればいいのか


   7月1日付朝日新聞紙は「暴力の温床を断とう - PL野球部 -」と題する社説を掲げた。
 社説はまずPL学園野球部の暴力事件の概要を報ずる。

  1. 上級生が下級生を「付け人」にして、身の回りの世話をさせ、
  2. 気に入らないことがあると、バットで殴ったり、バリカンで頭髪をとら刈りにしていた(という)。
  3. 新入生のノートに上級生を天皇や神にたとえる言葉を書かせて、上下関係を協調していた(ともいう)。
  4. そんな体質に失望と限界を感じたのか、昨年は入部した19人のうち6人が部を辞め、学校も退学している。
社説はこの後に妙なことを書く。
 
 

教育の場である高校で、こんな野蛮な行為がいまだにまかり通っていたとは驚く。 

 

 ええーっ、朝日新聞紙は「こんな野蛮な行為が今だまかり通ってい」ることを知らなかったのォ??そんな筈はない。朝日新聞社は全国高校野球大会の主催者である。1915年いらい「高校野球」(旧制中学を含めて)の取材には総力を挙げて当たって来たはずである。その朝日新聞社が「こんな野蛮な行為が今だまかり通っていた」ことを知らなかったとは信じられない。

 この一文はウソだと思う。必ずや記者たちはそんな噂を聞き及んでいたに違いない。義憤を感じてデスクに持ちこんだ記者だってゼッタイいたと思う。しかし、デスクも自社主催のイベントであるが故に、こと高校野球となると日ごろの鋭い目がつい曇ってしまうではないか。

 もし、いやデスクの目は健在だというのであれば、一線記者たちの取材能力が低いか、記者たちに自己規制が働いているかのどちらかだと思う。

 社説はこのあと、大学や高校のスポーツ部の暴力事件やセクハラ事件を取り上げ指導者には「この際、自分の言動や指導法を少し距離を置いて見つめなおす」ことを求め、学校には、スクールカウンセラーの配置を求める。そして「日本のスポーツ界はもっと明るく、開かれた場になるべきだ」と呼びかける。

 ちょっと待った!もう一度言うが、全国高校野球大会主催者は朝日新聞社ではないのか。主催者としての責任になぜ触れないのだろう。

 そもそも野球部になぜ暴力がはびこるのか。それは野球部には人権より大切なものがはびこっているからだ。それは何か。試合に勝つことである。

 朝日新聞社には高校野球について高邁な主張があるかもしれないが、実際にはこの全国大会を主催し奨励することによって、学校のなかの勝利至上主義を助長しているのである。また、高校野球部活動の問題点を系統的に追及しないことによって勝利至上主義を横行させているのである。こうして勝利至上主義に基づく人権蹂躙がはびこるのである。

 朝日新聞社は高校野球での暴力を克服するためにキャンペーンを張るべきである。そして改善の見通しが付かないのなら、いさぎよく全国高校野球大会の主催を止めるべきである。