2001年 3月11日 日曜日

自民党の解党的改革のために! 


   おとといだったか、自民党のある実力者が「森首相は自民党にしか分からない言葉で首相辞任の意思表明をするんだよ」と予言していた。何のことだろうと思っていたら、森首相は昨日の自民党5役会で、「当面の政治課題に全力で取り組む。総裁選挙を前倒しする」と語ったと言う。これが自民党にしか分からない言葉だったようだ。なるほど、分りにくい。

 昨日の新聞は「首相も権力構造の中の駒にすぎないことが露呈した」と評していた。今に分かったことではないと思うがその通りである。その権力の問題。

 今、「権力」の問題で、影響力を発揮している人に柄谷行人という人がいる。この人が「技術としての政治----アナーキズムと権力の問題」と題するインタビューで、個人への権力の集中を排しつつ、かつ優れた人を指導的な地位に座らせる技術として、くじ引きを提起している。(「週間読書人」3月9日付)

 
 

 そこで、僕が考えたのは、選挙+くじ引きです。三名連記で三人を選び、最後にくじ引きをする。そうすれば、相対的に優れた人が選ばれる。たとえば、レーニンとスターリンとトロツキーが選ばれて、くじ引きで最高の地位に立つとします。その場合、スターリンがいかに権力よくが強くても、決して独裁的権力を持つことが出来ない。自分の後継者や古文を作ることが出来ないから。選ばれなかったレーニンもトロツキーも、スターリンに協力するでしょうし。 

 

 ミーハー的ないいかたであるが、これはそうとう面白いと思う。

現在も、例えば「検察審査会」(これも権力機関のひとつかな)の場合、くじ引きが活躍する。ざっというと

  1. 市町村の選挙管理委員会がそれぞれの選挙人名簿のなかからくじ引きで定員の倍数の検察審査員候補を選ぶ。
  2. この候補の中から「天皇・皇后(戦後まもなくは皇室のメンバーも選挙人名簿に記載されていたらしい)」、国務大臣、自衛官、弁護士などの「無資格者」をはじく。
  3. 残りのメンバーの中からもう1度くじ引きで定員一杯の検察審査員を選定する。

といった風である。

また、よく知られているように公職選挙法第95条も

 
 

2 当選人を定めるに当たり得票数が同じであるときは、選挙会において、選挙長がくじで定める。 

 

 と、大騒ぎになること必定の深刻な問題をごくあっさりと片づけている。

 ということは、もし、首相を公職選挙法で選出するというようなことになれば、首相がくじ引きで選ばれることが十分あり得るということになる。

 さらに『日本大百科全書』(小学館)には

 
 

また『貞丈雑記(ていじようざつき)』には『南朝紀伝』を引用して、正長(しようちよう)元年(1428)正月、将軍不例(病気)に際し畠山満家(はたけやまみついえ)を石清水八幡宮(いわしみずはちまんぐう)に詣(もう)でさせ、みくじをとって後継者を決めたとある。 

 

とか、  

 
 

公共性を帯びたものとしては、各地の神事祭礼に氏子のなかから頭屋頭人(とうやとうにん)といわれる神役(かみやく)を選定するのに、みくじを用いる例がある。氏子のなかで神役となる資格のある者が名前を書いた紙片を三方の上にのせ、その上で御幣(ごへい)を振り、舞い上がって御幣に付着した名札の者を頭屋とするのである。 

 

といった例も記載されている。

 ということになると、「政治の技術」としても「日本の政治伝統」からいっても、柄谷行人のいっていることは、十分うなづけるのである。

 さしあたり、自民党の総裁選挙当たりからこの「選挙+くじ」方式を導入したりすると自民党の「解党的改革」がみごとに始動すること請け合いである。