2001年 3月6日 火曜日

 ダイズとアズキ


   忘暮楼は玄米ご飯を炊いて食っている。玄米だけでは寂しいので、ダイズをいれたりアズキを入れたりして食べる。

 この話をある人に話したら、「同じ豆でもアズキとダイズは大違いよ」と教えてくれた。期末テストの採点も終わったし、生徒たちの授業の出欠記録もとったし、…というわけで、アズキとダイズを調べてみた。資料は例のごとく「日本大百科全書」(小学館)onlyである。

 結論!糖尿病食事療法ではダイズが一番。

花は何色
アズキは煮汁、ダイズは呪力
アズキは日本人だけ
アズキは北海道、ダイズはアメリカ
アズキは炭水化物、ダイズはタンパク質と脂質
アズキはあんこ、大豆はプラスティックまで

アズキ ダイズ
形態

花は黄色

  1. 花は黄色の五弁からなる蝶形(ちようけい)花で、竜骨(りゆうこつ)弁は左右不相称。

花は白、紫、紅

  1. 花は五弁の蝶形(ちょうけい)で、白、紫、 淡紅色などである。

  2. 主根は地下約1メートルにも達し、根には土中の根粒菌が寄生する。

  3. 根粒菌は根粒内において空気中の窒素を固定するが、ダイズは根粒菌が空気中から固定する窒素を成長の栄養源とする。
民俗

アズキはハレと魔よけ

  1. アズキは「ハレ」の演出に使われた。上古のころから煮ると出てくる赤い色が珍重され、赤飯、小豆餅(もち)、小豆粥(がゆ)など節日(せちにち)の食物の色づけに用いられた。

  2. アズキの赤はまた魔除(まよ)けにも用いられた。

ダイズは呪(まじな)いのパワー

  1. 節分の豆まき(鬼払い)、漁師が厄払いにダイズを船に持ちこむ、厄年の厄逃れに辻にダイズを撒く、旧暦9月十三夜の豆名月でダイズを供える、など。
原産地と伝播

珍重するのは日本人だけ

  1. アジア極東地域原産とされ、中国では2000年も前から栽培された。

  2. 日本には中国から渡来し、農耕文化が始まったころからの作物である。

  3. 日本人以外にはあまり好まれない豆で、歴史の古い中国や朝鮮でも栽培される量は少ない。

  4. 北アメリカ南部では、青刈り飼料用として栽培される。

アメリカへは黒船のペリーが日本から持ちこんだ

  1. 中国での栽培は古く、前2700年ころの記録がある。

  2. 日本の栽培ダイズは中国から縄文あるいは弥生(やよい)初期に渡来した。『古事記』(712)、『日本書紀』(720)に記録がある。

  3. ヨーロッパへは、日本に1961年(元禄4)から2年間滞在したオランダの博物学者ケンペルによって1712年に紹介された。

  4. アメリカへはヨーロッパより遅く、1854年ペリーが日本から持ち帰ったのが最初であるが、農商務省で最初に試作されたのは1896年になってからである。

  5. ヨーロッパで栽培種として興味が持たれたのは、1908年にアメリカから初めてダイズ豆が輸入されて以後である。

  6. 20世紀に入ってその栽培は急激に増加し、現在、アメリカは世界第一のダイズ産出国となった。ブラジルには1882年にヨーロッパから入り、その後急速に栽培が普及した。
主産地

アズキは北海道

  1. 日本のアズキ生産の70%以上を北海道が占めている.

  2. 近年南アメリカやアフリカのコンゴなどでも栽培されるが、アフリカのアズキは日本への輸出用が主だ。

ダイズはアメリカ

  1. 1993年のダイズの世界の収穫量は約1億1110万トン。そのうちアメリカの収穫量は4922万トンで、世界の40%と44%を占め、世界第一位である。

  2. 第二位はブラジルで2271万トン、第三位は中国で1300万トンである。この3国で世界の約77%を生産している。

  3.  日本国内の収穫量が10万トン足らずであるのに対し、輸入量は503万1000トン(1993)で、消費の大部分を輸入に頼っている。

  4. 消費の内訳は、
    • 食用が76万1000トン

    • 加工用が398万6000トン。加工用はほとんどが製油用。
成分

アズキは炭水化物

  1. アズキはダイズに比べてタンパク質と脂肪が少なく、炭水化物が多い。

  2. 100グラムのアズキには
    • 水分15.5グラム
      (アズキの勝ち)

    • タンパク質20.3グラム
      (ダイズの圧勝)

    • 脂質2.2グラム
      (ダイズの圧勝)

    • 炭水化物54.4グラム
      (アズキの圧勝)

    が含まれる。

  3. アズキのデンプン粒は繊維細胞に包まれていて、餡には好適な舌触りをもつ。このため、需要の75%は餡用である。

ダイズはタンパク質と脂肪

  1. ダイズの種子(豆)にはタンパク質と脂肪が豊富に含まれ、タンパク質を構成するアミノ酸は、米と組み合わせることによって必須(ひっす)アミノ酸のすべてを満たしている。

  2. 成分は品種や産地、栽培法などによって若干異なるが、標準的な乾燥状態の大豆100グラム中には、

    • 水分が12.5グラム、

    • タンパク質35.3グラム、

    • 脂質19.0グラム、

    • 炭水化物では糖質が23.7グラムと繊維は4.5グラム

    • デンプンはほとんど含まれない。

利用

アズキは日本人(だけ)の大好きな食べ物。

  1. 日本人はアズキを餡(あん)の原料や汁粉(しるこ)、赤飯などに使うほか、和菓子の材料とされる。

枝豆からプラスティックまで、ダイズは大活躍

  1. 加工食品でもっとも多く利用されているものは豆腐で、1年間に約30万トンの大豆が豆腐に加工されている。

  2. 油揚げには年間約15万トンの大豆がこれに使用されている。

  3. 納豆やみそ、しょうゆなどは古くから副食物として親しまれてきた。

  4. そのうちしょうゆはおもに油を搾ったあとの脱脂大豆を原料とし、年間約18万トンの脱脂大豆が使われている。

  5. 大豆から搾った脂肪にはリノール酸やリノレン酸などが含まれ、良質の植物性食用油である。この食用油はマーガリンやマヨネーズなどの原料とされる。

  6. 大豆のタンパク質を取り出して、種々の食品への加工や添加などに利用する技術が近年急速に発達した。現在もっとも広く使用されているのは組織状タンパクで、ひき肉と混ぜてハンバーグやシューマイ、ギョウザ、ミートボール、コロッケなどの加工食品に利用されている。

  7. 繊維状タンパクからは上質の人工肉がつくられる。脱脂大豆は飼料としての利用も多く、とくに配合飼料には欠かせないものである。

  8. 未熟な種子を利用するのが枝豆で、莢(さや)ごと塩ゆでして、総菜やおつまみとする。日本では枝豆としての需要がとくに多く、国内で作付けされるダイズの2割近くが枝豆用である。

  9. ダイズの茎葉は、イネ科作物の約2倍の窒素、3.5倍の石灰を含むなど飼料としての価値が高く、生草のまま使う青刈り飼料、乾草、サイレージなどとして利用される。とくに青刈り用は2〜3か月で収穫適期となり、牧草の生産量の低い夏場に良質の茎葉が得られる利点がある。

  10.  このほか、大豆は化学工業の原料としての需要も多く、特殊タンパクのカゼインや油からとったグリセリンが、接着剤、プラスチック、ペイント、せっけん、医薬品など多くの製品に利用されている。