2001年 2月10日 金曜日

 学習ノート
生徒の集団虐待と学校の責任 6
いじめ事件への学校の対処のしかた


  采女 博文さんの 『いじめと人権--いじめ裁判例を読む』 【1995年度鹿児島大学公開講座 リカレント法律学−人権− 】(法学科主催) の学習ノートの続きです。全文はここの『イジメ根絶のページ』の上記論文を見てください。


 学校側の対処の仕方については、判決Dに具体的に述べられている(下表左側)。

 

(1)まず、迅速かつ周到な調査により事態の全容を正確に把握することが必要である。

当事者達はもとより、必要に応じて周囲の生徒など広い範囲を対象にして事情聴取をする必要がある。

 
 

(2)つぎに、事実調査の結果、放置することのできないいじめの実態が解明されたときは、教育的手段を講じなければならない。

問題を当事者だけの問題とするのではなく、必要な場合には学校全体の問題として取り上げなければならない。

いじめがいかに卑劣で醜い行為であるか、

また被害生徒の屈辱や苦悩がいかに大きいものであるかを

加害生徒はもちろん生徒達全員に理解させるとともに、

周囲の生徒達にはいじめを決して傍観することなく、身をもって制止するか、あるいは教師に直ちに報告する勇気をもって欲しい

ということを訴える必要がある。

【采女 博文さんの見解】

いじめを根絶するという視点に立ったとき深く掘り下げて考えなければならないのはやはり、左記(1)(2)の教育的手段の箇所である。

一般的に言うと、教師は各教科の専門家ではあっても、必ずしも児童心理学や精神医学の専門家ではない。教師には、この点についての謙虚さがまず必要である。

 

 

(3)その上で、一定期間は特に注意深く当事者生徒の行動を見守らなければならない。

 
 

(4)いまだなお、いじめが継続されているときには、

「このまま事態が改善されないときには、児童相談所か家庭裁判所への通告というような手段をとらざるをえない」

ということも明示するなどして、より一層強力な指導をなすべきである。

 
 

(5)さらには、学校教育法二六条の出席停止の措置をとることも検討しなければならない。

 
 

(6)それでも依然として何らの効果がみられないときには、

学校としては、もはや学校内指導の限界を越えるものとして、

警察や家庭裁判所その他の司法機関に対して、当該行為を申告して加害生徒をその措置に委ねることもまた必要である。

 

【采女 博文さんの見解】

この判決は左記(5)(6)のところまで踏み込んで述べているということで注目される。確かに、いわば緊急避難として出席停止等の措置も必要な場合があるであろう。しかし、そのときその学校・教師の「教育」は敗北したのだということだけは忘れてはならないであろう。