2001年 1月28日 日曜日

 コロラトゥーラの意味


   モーツァルトのオペラ『魔笛』は、夜の女王のコロラトゥーラ・ソプラノも見せ場の一つだ。

 主人公タミーノが夜の女王の策略にはまり、王女パミーナに一目ぼれ。そこへ夜の女王が「NHK紅白」の小林幸子のような衣装で舞台の奥から現われる。スカートを舞台全体に広げながらぐぐぐっとせりあがって行く。アリアが始まる。コロラトゥーラの妙なる調べが会場を満たす。うっとり……

 コロラトゥーラはcoloratura。この綴りからすぐ分かるように、英語のcolorと同根の言葉である。演奏や声楽の「彩り」の一つだ。では、どんな「彩り」なのか。新明解国語辞典は「コロラチュラ・ソプラノ」を「きわめて技巧的で、はでな歌い方のソプラノ(歌手)」と説明しているが、なんのためにそのような派手な歌い方をするのか、ということである。

 日本語字幕スーパーを見ながら気がついたのだが、コロラトゥーラは、古文の「係結び」に似た修辞のようだ。

 「愛しきパミーナは我が宝なり」の「愛しのパミーナ」に気持ちを込めようとすると、「愛しきパミーナこそ我が宝なれ」となる。

 この「こそ」の後ろにコロラトゥーラが入る。「愛しきパミーナこそ、、我が宝なれ」と歌われるわけである。

 これは歌舞伎の「見え」とも通ずるところがありそうだ。いずれも、抑えがたい感情の高ぶりを表現する技巧と見た。