2001年 1月26日 金曜日

 "The Magic Fluet"


   昨日帰宅したら奥方が風邪で伏せっていた。早退したのだそうだ。

 今朝になって、今晩オペラに行かないかという。モーツアルトの『魔笛』が県民文化会館で上演されるので職場の同僚達と観劇することにしていたらしいのだが風邪でいけない。代わりに行けというのだ。17000円のS席(1F:24列31番)だ。確かに捨てるのはもったいない。

 忘暮楼は最近、BGMにオペラをかけることがよくある。意味のわからない歌声は仕事の邪魔にならない。気持ちの隙間にすーっと入ってすーっと出て行く。語学が出来ないもののメリットである。そんなこんなで、忘暮楼、生まれて初めてのオペラ観劇に出かけることとなった。雨の駐車場からメインホールに入り、一回中央後ろより、絶好のロケーションに陣取る。

 舞台では、臙脂色の衣装をゆったりとまとった20人ほどの役者さんがウォーミングアップしている。眺めるともなく眺めていると、突然暗転し、オーケストラ・ボックスから音楽がわきおこり、オペラが始まった。黄色から青までのグラデーションで彩られている巨大な布……サッカーのサポーターが使用する一番大きい旗くらいかな……が、いろんな色のライトに照らし出されながら舞台の上で波打つ。臙脂色の衣装の役者たちが操っているのである。まもなく主人公・異国の王子タミーノが登場する。……

 何語で歌っているのか、最後まで分からなかったが、舞台の両脇に日本語字幕スーパーがよくできていて、ちょっとした愉快なセリフにも会場はリアルタイム?で反応する。役者のほうもやりやすいだろう。

 ストーリーが動き始めてすぐ、演題の「魔笛」は誤訳なんじゃないかな思った。主人公タミーノが似顔絵を見ただけで夜の女王の王女パミーナに一目ぼれしてしまう。王女はザラストロー帝国に拉致されている。そこで偶然知り合った鳥獲りパパゲーノとともに王女を取り戻しにザラストロー帝国に乗り込むのだが、そのときに夜の女王から困ったときに使いなさいといって渡されたのがこの笛であった。オペラの中では「魔笛」ではなく、「不思議な笛」(笛吹童子の持っていたアレだな…)と呼ばれていた。

 「魔」とくれば「人を惑わす」といったまがまがしい意味合いがあるが、この笛は「憎しみを愛に変える力」を持つのである。「魔笛」の雰囲気はない。一方、パパゲーノも人々を愉快な気持ちにする「不思議な箱」をもらう。いずれも現代にこそあって欲しい小道具だ。「魔笛」はせいぜい「秘笛」程度で抑えておいて欲しかった。ちなみに英語の題名は"The Magic Fluet"だった。

 とはいえ、すばらしい舞台だった。役者たちの歩く姿が美しい。ストーリー展開もまあまあだ。作品のまっすぐな主張が好ましかった。夜の女王のコロラトゥーレ・ソプラノをはじめとするたくさんのうつくしいアリア、愉快な歌詞、「三人の少年」の重唱の不思議な音色、夜の女王の三人の侍女の合唱もきれいだった。観客の笑声、たくさんの拍手。楽しい舞台だった。明日への勇気を与えてくれるような舞台でもあった。17,000円は高いには高いが、それくらいの値打ちはあるかもしれない。

スペック?を紹介しておく。

 
 

  • 『魔笛』K620(全2幕)
  • 台本:エマヌエル・シカネーダ
  • 作曲:ウォルフガング・アマデウス・モーツァルト
  • 舞台美術・意匠:カタリナ・ホラ
  • プラハ国立劇場オペラ(スタヴォフスケー劇場、別名"モーツァルト劇場")
  • 演出・監督:ダヴィト・ラドク
  • プラハ国立劇場管弦楽団・合唱団・バレエ団
  • 指揮:ヤン・ハルペツキー
  • S席17000円、A席14000円、…D席5000円、学生席2500円
 

 


今日の出来事◆オペラ『魔笛』の入り口でもらったチラシによると、「南海放送Eメール情報配信サービス(CLUB-N)」に加入すると、特急なんかいニュース(毎日配信)、ニュース速報(随時)などテンコモリのメール配信があるそうだ。スクラップ代りに使えるかな。会費無料。申しこみはここから。